- 二つのものを比べる表現(as ~ as や 比較級 than ~)のしくみ
- このしくみを知ると、比較構文の読み書きが正確になるということ
S塾長:英語講師
勅使河原(てしがわら)くん:塾生
目次
as ~ as の構文(原級比較)のしくみ
A rose is as beautiful as a lily.
(バラはユリと同じくらい美しい)
You have as many books as I have.
(あなたは私と同じくらいたくさんの本を持っている)
You have books as many as I have.
as 形容詞 as のパターン(例:as beautiful as)
たとえば、バラの花とユリの花を 美しさ について 比較してみます。
まず、どちらも美しい花なので、次のような二つの文を作ります。
(1) A rose is beautiful. (バラは美しい)
(2) A lily is beautiful. (ユリは美しい)
次に、バラとユリを比べて「同じくらい美しい」という結論が出たとします。
そこで「バラとユリは同じくらい美しい」という英文を作ることにします。
この英文は(1)と(2)の文を組み合わせて(合成して)作ります。
合成する前に、次のことをしっかり覚えておいてくださいね。
バラとユリを beautiful(美しさ)を基準にして 比較する。
手順1
(1) の文中の beautiful(比較の基準) の直前に as を置きます。
(1)´A rose is as beautiful.
↓
手順2
(2)の文頭にasを置きます。
(2)´as a lily is beautiful.
↓
手順3
(1)´の後ろに(2)´をくっつけます。
A rose is as beautiful as a lily is beautiful.
↓
手順4
- 比較の基準であるbeautiful は、一つあればわかるので、2番目に出てくるbeautifulを削除します。(これは義務です。削除しなければ文法的に正しくない文になります)
- a lily is の is は、2度目に出てくる is なので、重複する部分ですが、これを省略するかどうかは、書き手の自由です。これを( )でくくって表します。
A rose is as beautiful as a lily (is) beautiful.
↓
完成
A rose is as beautiful as a lily (is).
as 形容詞 名詞 as のパターン(例:as many books as)
次に、あなたの持っている多くの本と、私の持っている多くの本を、本の数(多さ)について比較してみます。
上と同様に、まず次のような二つの文を作ります。
(1) You have many books. (あなたは多くの本を持っています)
(2) I have many books. (私は多くの本を持っています)
↓
次に、あなたの多くの本と、私の多くの本を比べて「同じくらいの数(多さ)である」という結論が出たとします。
そこで、「あなたは、私と同じくらい多くの本を持っている」という英文を作ります。
この英文も、(1)と(2)の文を合成して作ります。
合成する前に、次のことを覚えておいてください。
あなたの多くの本と、私の多くの本をmany books(すなわち、本の多さ・冊数)を基準にして 比較する。
手順1
(1) の文中の many books(比較の基準) の直前に as を置きます。
(1)´ You have as many books.
↓
手順2
(2)の文頭に as を置きます。
(2)´ as I have many books.
↓
手順3 (1)´+ (2)´
You have as many books as I have many books.
↓
手順4
- 2番目に出てくるmany books(比較の基準)を義務的に削除します。
- 2番目に出てくる have は省略できますが、省略せずに残す場合が多いです。その際、この have を do に書き換える例がよく見られます。
You have as many books as I have[または do] many books.
↓
完成
You have as many books as I have.
または
You have as many books as I do.
注意点
as ~ as 構文における2つの as は品詞が異なる
どうでしょうか? ここまで、ちゃんと理解していただけましたか?
なお、もうちょっとだけ深く知りたい方は、この注意点を読んでみてください。
ただし、負担に感じる方は、読み飛ばしても全然OKです。
もう少し学習が進んだのちに、このページに戻って、目を通してくれたらよろしいと思います。
as ~ as 構文の二つの as は、異なる働きをしており、それぞれ別の種類の言葉です(品詞が異なる)。
1番目の as は副詞であり、後続の形容詞や副詞を修飾します。
これに対し、2番目の as は接続詞であり、前後の文をつなぎます。
逆に言うと、2番目の as が接続詞だからこそ、二つの文を連結して、合成することができるのです。
ということは、2番目の as に後続する部分は、原則として S と V を持つ文章になります。
ただし、これには例外があります。一つはもう説明しました。重複を避けるために2番目の V が 省略される場合です。
(例)You have as many books as I.
これに対し、次のような表現が存在します。
You have as many books as me.(口語)
2番目の as の後続部分が、目的格になっています。これは話し言葉で見られる形です。
2文合成の理屈から厳密に言えば、ここには主格を用いるべきでしょう。合成されるのは、以下の「良い例」の2つの文でなければならないからです。
You have many books. + I have many books.
しかし、これは現実に存在する文(口語)なので、認めなければなりません。
You have as many books as me.
この場合は、as を前置詞ととらえ、me をその目的語(前置詞の目的語)と考えます。
この例は、than を用いた比較構文においても見られます。
主格に代わって用いられる目的格(口語)
as ~ as 構文について、まずは文法にこだわって理屈で説明しました。次に、口語の世界に少しだけふれておきます。
この点につき、すぐれた英文法書である『徹底例解ロイヤル英文法 改訂新版』の P175の記述が大変参考になります。以下に引用します。
He is more generous than her.(彼は彼女より寛大だ)
※ 主語だから、本来は she だが、特に口語調では目的格が好まれる。He is more generous than she (is). も正しい表現だが、is を省略すると形式ばった感じが強くなるので、ふつうは is は省略しないほうがよい。
なお、「主格に代わって用いられる目的格」については、以下のページでよりくわしくふれています。
比較級 than ~ の構文のしくみ
優勢比較(バラの美しさが、ユリの美しさに勝る場合)
例によって、バラの花とユリの花を 美しさ について 比較してみます。
(1) A rose is beautiful. (バラは美しい)
(2) A lily is beautiful. (ユリは美しい)
次に、バラとユリを比べて「バラの方が美しい」という結論が出たとします。
そこで「バラはユリよりも美しい」という英文を作ることにします。
美しいほうのバラを主語にするわけですね。これを優勢比較といいます。
次のことも as ~ as のときとまったく同じです。
バラとユリを beautiful(美しさ)を基準にして 比較する。
手順1
(1) の文中の beautiful の前に more (副詞)を置きます。
(1)´ A rose is more beautiful.
↓
手順2
(2) の文頭に than を置きます。
(2)´ than a lily is beautiful.
↓
手順3 (1)´+ (2)´
A rose is more beautiful than a lily is beautiful.
↓
手順4
A rose is more beautiful than a lily (is) beautiful.
↓
完成
A rose is more beautiful than a lily (is).
この構文で、2つの文をつないでいる than は接続詞です。
劣勢比較(バラの美しさが、ユリの美しさに劣る場合)
これが最後です。バラの花とユリの花を 美しさ について 比較します。
(1) A rose is beautiful. (バラは美しい)
(2) A lily is beautiful. (ユリは美しい)
次に、バラとユリを比べて「ユリの方が美しい」という結論が出たとします。
そこで「バラはユリほど美しくない」という英文を作ることにします。
ユリではなく、美しくないほうのバラを主語にするのです。
これを劣勢比較と言います。
手順1
(1) の文中の beautiful の前に less (副詞)を置きます。
(1)´ A rose is less beautiful.
↓
手順2
(2) の文頭に than を置きます。
(2)´ than a lily is beautiful.
↓
手順3 (1)´+ (2)´
A rose is less beautiful than a lily is beautiful.
↓
手順4
A rose is less beautiful than a lily (is) beautiful.
↓
完成
A rose is less beautiful than a lily (is).
これで、「比較表現のしくみ」の「根本」の説明は終わりです。お疲れさまでした。
さて、終わったのはもちろん「根本」だけです。これからが比較構文の始まりなのです。
どうか、これを読んでくださっているあなたが、これで決して満足せず、貪欲に、空腹の虎のように、英文に向かっていただければと思います。
虎のように、読んでください。あなたの前に立ちふさがる英文たちを。
虎はけっして満足しない。喰らい続ける。
【本日の講義終了】