「パラグラフって何ですか?」とお考えの、親愛なる読者のあなた。
1 英語の「パラグラフ」が何なのかということ。
2 パラグラフを知ると、長文問題が読みやすくなること。
英語の「パラグラフ」とは
『ウィズダム英和辞典・第2版』(三省堂)
パラグラフ(paragraph)には通常、「段落」という訳が当てられます。
今、手元の英和辞典(ウィズダム英和辞典/第2版)を引いてみました。
するとやはり、paragraph の意味として、第一番目に赤い字で「段落」とあります。
これはほかに適切な日本語がないため、便宜上(しかたなく)そのような日本語訳が当てられているのでしょう。もちろん辞書は悪くないですよ。
でもですね…
英語の「パラグラフ」と日本語の「段落」は別の物なんです。
そもそも、日本語の「段落」には、「長い文章を内容などからいくつかに分けた区切り」(デジタル大辞泉/小学館より引用)といったほどの意味しかありません。
「段落」のルールも、筆者の判断で内容ごとに改行して、段落の第一行目の文頭は一字下げて書き始める、ぐらいしか見当たりません。
つまり、次のようなことが言えます。
段落には、明確な定義や、厳守すべきルールは、ほぼありません。
これに対し、以下のように言えます。
パラグラフには、明確な定義と、厳守すべきルールが存在します。
ここが、両者の大きな違いなのです。
この定義やルールを、これから順を追って、わかりやすくお話していきます。
パラグラフの外形
パラグラフは、ハンバーガーの形をしています
では、説明しますね。
英語のパラグラフは、以下のように3段階に分けて書かれます。
日本語を使って、ものすごく簡略化しますよ。
- まず、あるテーマにつき、言いたいことをサクッと簡潔に書く
- 次に、その内容(説明、理由、例など)を具体的に書く
- 最後に、言い方を変えて、再び自分の言いたいことを書く。
このように、パラグラフでは、①一番最初に書く文と、③最後に書く文とが同じ内容なのです。
①と③のどちらも、あるテーマについて自分が言いたいことであり、サクッと書かれた要点(あっさりした文)です。
そして、その二つのあっさりした文のあいだに、②ボリュームたっぷりの具体的な文章たち(説明・理由・具体例など)が、はさまれます。
これは、二つのパンのあいだに、ボリュームたっぷりの具(ハンバーグ・完熟トマト・しゃきしゃきレタスなど)がはさまれた状態、そうですハンバーガーの状態と同じなのです。
パラグラフのモデル/「キリンは首が長い」
さて、パラグラフのおおまかな形がわかったところで、骨格だけの簡単な図をつくってみましょう。
ここでは「キリンは首が長い」という有名な例を使ってみます。
まず、パラグラフのテーマとして「キリン」を選び、その特徴を書きたいと考えました。
そして、その特徴の中でも、「首が長い」ということについて書くことにしました。
そこで、パラグラフの第一行目に、「キリンは首が長い」と書きます。
これを図にすると、以下のようになります。全部日本語で書きますよ。
↓
(パラグラフの骨格の具体例)
(1) | キリンは、首が長いんです。 |
(2) | そのため、高い場所にある木の実を食べられます。 そのため、足を折り曲げずに安全に水を飲めます。 そのため、遠くの外敵をいちはやく発見できます。 |
(3) | キリンの首って、長いんですわ。 |
どうですか、ハンバーガーの状態に見えましたか?(見えない? じゃあ、妥協してサンドイッチでもいいですよ)
いずれにしても、上のように (1)→(2)→(3) の3段階の型にはめて書くのが、パラグラフの原則です。
さて、この原則に、ちょっとだけ補足します。「パラグラフのかたち」のまとめです。
「パラグラフの外形」のまとめ
(1) 最初に、これから何を述べるか(主題=テーマ)を書く。
(2) 次に、主題(テーマ)の内容を支えること(説明や理由など)を書く。
(3) 最後に、(1)で書いた主題(テーマ)を別の表現で言いかえる。
(1) の主題を述べる文は、通常はパラグラフの第一文目に書かれます。
要点だけをサクッとシンプルに、一文で書くのが普通です。
↓
(2) の文は、(1) で述べた主題の「説明」や「理由」や「具体例」などです。
第一文に書かれた主題を支える(サポートする)働きをします。
↓
(3) の文は、(1) の言い換えなので、省略されることがあります。
話の内容が明らかな場合は、くりかえして述べる必要がないからです。
特に(1) は絶対に覚えて下さいね。
(1) 主題文(トピック・センテンス)
(2) 支持文
(3) 結論文