このページは現在作成中です。
これから何度も加筆・修正しながら、更新を続け、このページを書き進めていきます。
おそらく、このページはこの先、形を変え続けます。
また、これは、このサイトの他のページのことですが、私は一度書いた記事を、思い出したように、突然推敲します。
その理由は、ただ、そうしたいからです。
詩人のチャールズ・ブコウスキーが言っていたように。
ちなみに、ブコウスキーの書いたものは、けっして読んではいけません。
いいですか、けっして、ですよ。普通、耐えられませんから。
「春夜」より抜粋
あさりのようなもの、
はまぐりのようなもの、
ミジンコのようなもの、
それら生物の身体は砂にうもれ、
どこからともなく、
絹糸のような手が無数に生え、
手のほそい毛が波の まにまに うごいている。
あわれ この生あたたかい春の夜に、
そよそよと しおみず ながれ、
生物の上に みず ながれ、
貝類の舌も、ちらちらとして
もえ かなしげ なるに。
とおく渚(なぎさ)の方を見わたせば、
ぬれた渚路には、
腰から下のない病人の列が歩いている
「春夜」抜粋
「くさった蛤(はまぐり)」
蛤(はまぐり)の焼死体
半身は砂の中に埋もれていて、
それでいてべろべろ舌を出している。
この軟体動物のあたまの上には、
砂利や しおみずが、ざら、ざら、ざら、ざら 流れている、
ながれている、
ああ夢のように しずかにも ながれている
ながれてゆく砂と砂とのすきまから、
はまぐりはまた舌べろをちらちらと赤くもえいずる。
このはまぐりは非常に憔悴(やつ)れているのである。
見れば ぐにゃぐにゃした内臓が腐りかかっているらしい、
それゆえ かなしげな晩方になると、
青ざめた海岸に座っていて、
ちら、ちら、ちら、ちら と 腐った息をするのですよ。
夜の海岸には、くさった蛤(はまぐり)が無数にいます
「くさった蛤(はまぐり)」全文
「ばくてりやの世界」
ばくてりや:バクテリア。もっとも原始的な単細胞生物の通称。細菌。
上から、サルモネラ菌、黄色ブドウ球菌、O157の皆さん
ばくてりやの世界(全文)
ばくてりやの足、
ばくてりやの口、
ばくてりやの耳、
ばくてりやの鼻、
ばくてりや が およいでいる。
あるものは人物の胎内に、
あるものは貝類の内臓に、
あるものは玉葱(たまねぎ)の球心に、
あるものは風景の中心に。
ばくてりやがおよいでいる。
ばくてりやの手は左右十文字に生え、
手のつまさきが根のようにわかれ、
そこからするどい爪が生え、
毛細血管の類は べたいちめん にひろがっている。
ばくてりやがおよいでいる。
ばくてりやが生活するところには、
病人の皮膚を透(す)かすように、
べにいろの光線がうすくさしこんで、
その部分だけはほんのりとして見え、
じつに、じつに、かなしみ耐えがたく見える。
ばくてりやがおよいでいる。
食事の前には手を洗いましょう
「ばくてりやの世界」全文
「艶めかしい墓場」より抜粋
風は柳を吹いています
どこに こんな薄暗い墓地の景色があるのだろう。
なめくじは垣根を這(は)いあがり
みはらしの方から 生あったかい潮(しお)みずがにおってくる。
どうして貴女(あなた)はここに来たの
やさしい 青ざめた 草のようにふしぎな影よ
貴女は貝でもない 雉(きじ)でもない 猫でもない
そうして さびしげなる亡霊よ
貴女のさまよう からだの影から
まずしい漁村の裏通りで 魚のくさった匂いがする
その腸(はらわた)は日にとけてどろどろと生臭く
かなしく せつなく ほんとにたえがたい哀傷のにおいである。
「艶めかしい墓場」抜粋