- 前置詞の働き
- 前置詞の働きを知れば、強い武器が手に入ること
ここでは、上の図のようなことは、考えないのですよ。
S塾長:英語講師
勅使河原(てしがわら)くん:塾生
前置詞は支配するのです
前置詞は、名詞の働きをする語句の前に置く語です。
ざっくり言うと、前置詞の後ろは名詞です。
(例) on the desk
この前置詞は、自分の後ろにある名詞を支配して、自分の縄張り(一つのブロック)を作ります。
前置詞+名詞
こんな感じです。支配者の前置詞がでかい顔をしていますね。
はい、次が大事ですよ。
前置詞が作るブロック は、形容詞あるいは副詞の働きだけをします。
名詞としては働かないのです。
(例1) The durian on the desk is not mine.
(机の上のドリアンは / 私のではありません。)
例1の on the desk は直前の名詞である The durian を修飾しています。
名詞を修飾する on the desk は、形容詞の働きをしています。
(例2) Put your durian on the desk.
(あなたのドリアンを / 机の上に置きなさい。)
例2の on the desk は動詞である Put を修飾しています。
動詞を修飾する on the desk は、副詞の働きをしています。
◎主語になれるのは名詞だけである
ここから、次のようなルールが生まれます。
◎前置詞の付いた名詞は、主語になれない
このような理由で、on the desk は英文中に出てきても、気の毒ですが、文の主語にはなれないのです。
前置詞は目印になるのです
In many places the forests the people burned were replaced by grasslands which supported increasing populations of grazing mammals.
- grassland「草原」
- grazing mammal「草食のほ乳類」
では、正しい読み方をいっしょに見ていきましょう。
まず、例題の英文中から 修飾部分(M) だけを抜き出してみますよ。
すると、主語(S)と、述語になる動詞(V)だけが浮かび上がります。
その方法として、下のような色分けを、例題の英文に行ってみますね。
前置詞の作るブロック =(M)
関係代名詞の作る修飾部分 =(M)
関係代名詞の作る修飾部分(関係代名詞節)は、その先行詞である名詞を修飾します。すなわち、関係代名詞節は、名詞を修飾する部分です。
これは中学校で学習することですが、解説のページが欲しいという声があれば、その作成を検討させていただきますね。
では例題の英文に、色分けを行ってみます。
In many places the forests [省略されているwhich] the people burned were replaced by grasslands which supported increasing populations of grazing mammals.
すると、①the forests と ②were replaced が浮かび上がります。
これがこの英文の ①主語(S) と ②述語になる動詞(V) です。
すなわち、「①森が ②とって代わられた。」これがこの英文の骨格です。
文型で言えば、第1文型(受動態)。あとはすべて修飾部分です。
英文の「構文をとる」とは、このようなことを言います。
この例題は、英文中から主語(S) を瞬時に見分ける目印となる前置詞の働きをお伝えするためだけに、使用しました。
したがって、ここでは例題の英文解釈には立ち入りませんが、和訳例を添えておきます。
In many places the forests the people burned were replaced by grasslands which supported increasing populations of grazing mammals.
(和訳例)その人々が焼いた森は、多くの場所において草原になり[草原にとって代わられ]、それは、ますます数が増える草食のほ乳類を育てた[支えた]。
語句の補足説明
前置詞の目的語について
前置詞+名詞 の 名詞部分 を「前置詞の目的語」といいます。
この言葉は覚えておきましょう。
(例)on the desk
the desk は前置詞 on の目的語です。
※前置詞の後ろの名詞が関係代名詞になるとき、目的格になるのはこのためです。
これから先、複雑な構造の英文を読んでいくときに、この考え方は、強い武器になりますから。
形容詞について
形容詞とは、「名詞の性質や状態を説明する語」のことです。
例えば、次のように使われている big という語は形容詞です。
(例1) I saw a big durian.「私は大きなドリアンを見ました。」
(例2) Your durian is big. 「きみのドリアンは大きい。」
形容詞の例
- red(赤い)
- sad(悲しい)
- happy(幸せな)
- glad(喜んで)
- wonderful(すばらしい)
- afraid(恐れて)
- very(まさにその)
英語の場合は、言い切りの形(音)ではなく、その働きで形容詞であると判断します。
副詞について
まず、副詞の例をあげてみます。
副詞の例
- always(いつも)
- sadly(悲しそうに)
- happily(幸せに)
- here(ここに)
- abroad(外国へ)
- never(決して~ない)
- very(とても)
形容詞の sad は、 sadly という形になると、副詞として働きます。
形容詞の happy は、 happily という形になると、副詞として働きます。
very はそのままの形で、形容詞としても副詞としても働きます。
このように、同じ形のままで、いろんな品詞として働く語があります。
さて、副詞について、私はさきほど、次のような、あいまいな表現をしました。
副詞は、とりあえず、原則として名詞以外を修飾するもの、と考えておいてください
初学の段階では、このような考え方でかまいません。理解が深まってきたら、さまざまな例外を学習すればよいと思います。
そこで、まずは副詞の働きについて一般的な説明をします。
副詞の働きは主に以下の4つです。
- 動詞の修飾
- 形容詞の修飾
- 他の副詞の修飾
- 文の修飾
しかし、ちょっとだけ本当のことを言います。
実は、副詞の中には「名詞を修飾するもの」もあるのですよ。
英語の品詞の中で、もっともあいまいなのが副詞である。
実は、「副詞」とは、「ほかの品詞に分類できない修飾要素」につけた名前である。
副詞のもつ意味がさまざまであり、文中での位置もバラバラなのは、もともと不統一なものを一つの名前で呼んでいる以上、当たり前なのだ。
『 総合英語Forest [6th edition] 』(桐原書店) p548より引用
あいまいな「副詞」は、しばしば誤読を誘うので、用心してくださいね。今は、そういう気持ちでOKです。
ドリアンについて
ドリアンのイラスト
ドリアン[名詞]
- 果物(フルーツの王様)
- ドリアン助川(詩人)
- ドリアン・グレイ(英国人)
このページ内の「ドリアン」は①の意味です。
それでは、本日の講義はここまでです。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。