Their father never met a moral fight he wasn’t willing to pick.
解答には「彼らの父は道徳的な衝突があれば必ず議論を始めようとした」とあります。
なぜ「議論を始めようとした」という訳になるのでしょうか?
あなたが、英語をどのくらい理解してくれているのか、私にはわかりませんので、とりあえず、基本から解説していきます。
わかっていらっしゃるところは、読み飛ばしてくださいね。
Their father never met a moral fight he wasn’t willing to pick.
目次
pick a moral fightの意味
Their father never met a moral fight he wasn’t willing to pick.
① まず、fightとhe の間に、
目的格の関係代名詞
(whichあるいはthat)が
省略されています。
a moral fight (which) he wasn’t willing to pick.
この which の正体は
文末の pickの目的語である、
a moral fight が変化したものですね。
② pick a fight は通常、
「ケンカを売る」とか
「因縁をつける」くらいの意味です。
しかし、この英文では、
moral fight とあります。
これは直訳すると
「道徳的な戦い」ですから
文脈は不明ですが、
「殴り合い」のケンカなどは
きっと、しないのでしょう。
そうであるなら、
pick a moral fight は
当事者双方の道徳観が衝突して、
「口で」ケンカをする、
という意味にとらえましょう。
③ 以上をまとめると、
pick a moral fight は
道徳観の違い(衝突)が原因で
「議論をする」(議論を戦わせる)、
と解釈することになりますね。
he wasn’t willing to の意味
① be willing to ~ は
相手から求められれば、
「~することを いとわない」
「~することに 異存はない」
という表現です。
(1) be willing to do
(be willing that節も同じ)
例文)I am willing to let my wife have an alligator.
「妻がアリゲーターを飼うことに異存はない」
(2) willing が名詞の前にある場合
(自ら)進んで、喜んで行う、という自発的な意味が出ます。
例)a willing helper
「進んで手助けをする人」
「ウィズダム英和辞典」(三省堂)より
② そうであるならば、
その否定形の
be not willing to ~ は、
「~することを いやがる」
「~することに 異存がある」
という意味になります。
③ というわけで、
he wasn’t willing to ~ を
「彼は~することをいやがった」、
すなわち、「彼は~することを避けた」
と解釈しましょう。
a moral fight he wasn’t willing to pick..の意味
a moral fight he wasn’t willing to pick.
以上の説明をふまえると、
この部分の直訳は、
「彼が議論(=口でのケンカ)を(嫌がって)避けた 道徳的衝突」
ということになります。
Their father never met a moral fight he was not willing to pick.
Their father never met a moral fight he wasn’t willing to pick.
(直訳)
彼らの父親は、
彼が議論を避けた道徳的衝突に、
決して出会わなかった。
この直訳の意味を考えると、
「彼らの父親は、
どんな道徳的衝突に出会っても、
決して議論することを避けなかった」
ということになりますね。
これを意訳して表現したものが、
あなたが質問の中で示してくれた
以下の和訳なのです。
「彼らの父は道徳的な衝突があれば必ず議論を始めようとした」
確かに、議論を「始めようとした」は
わかりにくいでしょうね。
これはとても、こなれた「和訳」ですが、
むしろ「翻訳」に近くなっているような気がします。
もし私であれば、
「彼らの父親は、
道徳的な衝突に出くわした場合、
決して議論をいとわなかった」
くらいにすると思います。
厭(いと)わない:嫌がらない,避けない
※ 「厭う」を否定した形
さて、思いがけず、解説が長くなってしまいました。
最後まで読んでくださったあなたも、ずいぶん疲れてしまったでしょう。
今夜はこのへんで閉店です。
おやすみなさい。
たいやきパフェ